竜の交配に関するタブーについて

 竜にとって最大のタブーは、同族殺し、そして異なる体色(Elemental属性)間の交配である。現代では、竜はどのような条件があっても、竜を殺すことはできないようだ。そのタブーの強さを物語るエピソードは枚挙に暇がない。
 あえて番おうとした火竜Nagafenと氷竜Voxは、離れた洞窟に幽閉された上、竜の団体(Ring of Scale)から冒険者に対して「殺害報酬」が提示される。交配は許せないが、処罰として竜が自ら殺すこともできないのだ。
 拡張The Serpent's Spineでは、一部の竜たちがVeeshanの鱗を独占するLetharの野心に対抗し、竜と人類の魔法的混血種族Drakkinを創造する。他の竜を殺すため、タブーに従う必要がない種族を作ったのだ。

 これらのタブーはいつ成立したのだろうか。Kerafyrmが封印され、the Sleeperと呼ばれて以降だろうか?
 交配の禁忌はKerafyrm以前から存在したとされるが、それでもKerafyrmは産まれたのだから、現在ほど厳重なタブーではなかったのではないか。


 同族殺しに対するタブーの成立期にも、同じ疑問がある。かつて、竜同士の戦闘があったとする伝承が存在するからだ。Kerafyrmの支持者と旧来勢力の対立時や、IksarをめぐるRing of Scale内の意見対立だ。
 特にいわゆるKunark年表では、TrakanonがRing of Scaleの方針に反してセビリス皇帝Rileを海上で殺した後、竜同士の戦闘があり、「空から巨大な死体が落ちるのが地上種族に観測された」と書かれる。現在からたった(?)二千年ほど前の出来事である。
 これについては、いわゆる「Kunark年表」が、有力プレイヤーフォーラム「Druid Grove」に、開発者資料という触れ込みで投稿されたものであり、ゲーム内、あるいは公式のソースで公表されたものではないという事情も考慮する必要があるだろう。

 体色問題に関する一つの手がかりとして、ゲーム内に実在する同一血統の竜を取り上げて考えたい。同一体色(Elemental属性)の竜同士が結婚して子を残す以上、彼らは同じ体色を持つはずである。といっても、判明している竜の家族はそれほど多くないのだが。

Yelinak(夫)とHsagra(妻)とMyga(子孫)
典拠:Porlo's Furyクエスト(通称Dragonbane)
 Hsagraは他にも言及多数。正確にはMygaはYelinakの血筋、としか説明されないが、他にYelinakの妻がいたとは考えにくい。
 Yelinakは白く、Iceという言葉が使われているくせに属性はMagic系。Mygaは灰色っぽい白、属性不明。(何だっけ? ええ、憶えてなくてですね、調べても不明で)
 Hsagraはすでに死んでいるが、Bard epic1.5クエストでHsagra`s Shadeとして登場する外見は黒い。(同じzoneにあるJaled Dar`s shadeのグラフィックを使い回したのか?)状況が状況なので、生前は白かった可能性は否定できない。

Kildrukaun(父)とVyskudra(娘)
典拠:Grendish the Crusaderの発言
 The Sleeper Tombに登場した時、Kildrukaunが黒いのに対し、Vyskudraは腹と角が黒っぽく、他は白い外見だった。属性は双方ともMagic。(彼らFour Disciplineのグラフィックは解放前Warderの使い回しではない)しかし2007年発表の拡張Secrets of Faydwerでは色問題との関係は不明ながら、Crystallosに出現するVyskudraは腹が白っぽい黒竜に変わった。
(この拡張では、他にも複数の既知の竜のデザインが変更されている)

Jaled Dar(夫)とHarla Dar(妻)とPhara Dar(娘)とFraka Dar(息子)
 Fraka Darはすでに死んでいて外見、能力共に不明。しかし何故か彼はゲーム内で「young dragon」と形容され、一体いつ生まれたのか興味深い。
 残り3体は(Jaled Darも死んでshade状態だが)非常によく似た(というか同じ)外見で、紫をアクセントにした黒の体色と、独特の四本角が特徴。属性はどうやらMagic系。
 その4体以外のいわゆるDar一族が、実際に同一血統に属する確証はない(一部は同一血統と考えるべき設定だが)。個体によっては、同一とするのを躊躇わせる程、その特徴は異なってくる。

Shade Of Khalan Dar(EQ2)
 EQ2のVPで、Pharaの隣にいるらしい。外見は幽霊型、能力はPharaコピーなのか? Epicにdropが使われるとか。背景情報不明。

Suled Dar's Shade(Skyfire Mountains)
 新VP keyクエストに登場。VPという地形を作り、Iksarとの戦争で死んだ。このクエストでは、RoKの竜も普通は死後Dragon Necropolisに送られた(Jaled Darが特例ではない)とか、面白い話が出てくる。

 この述べた2体は、明らかにJaled Darとの血統を意識して作られたと考えていいだろう。

Aerin`Dar(Plane of Valor)
「clystaline dragon」と形容され、実際そういう外見をしている。要するに透明で白く輝く体色。Glassと称されるAE(属性Magic)を吐くが、生来のものではなく、Glass化の影響によるものかもしれない。元からあの場所にいた、かつては純真善良(?)な竜だとか。

Rydda`Dar(Halls of Honor)
 Mithaniel Marrに認められた勇者が記念されている霊廟で、その功績を追体験するtrialに登場する敵。つまり過去にどこかで殺された竜。AEでAerin`Darとイメージの似たCrystal系(属性Magic)を吐き、体色が白い。

Kelorek`Dar(Cobalt Scar)
 Cobalt Scarのチョウチンアンコウ(Faydedarコピー)。海竜型、体色緑、属性unresistableで不明?

Lantaric`Dar(Wakening Land)
 Bard epic1.5のNPC。KaelのGiantを監視していて、そのお使いを頼んでくる。このクエスト群のクライマックスが、Hsagraアンデット化イベント。体色黒(Vulakコピーらしい)。

 結論。開発者(あるいはグラフィックデザイナー)はそこまで深く考えていない。
 いやしかし、その結論で終わってしまうと、このような無駄なこじつけの価値がないので、無理やり続けよう。特にDar一族に顕著な体色の違いをどう考えるか。

□解釈1.Darと名前についていても、同一血統ではない。まあ、これでもいいだろう。

□解釈2.重要なのは色そのものではなくElemental属性であり、黒~白は「Magic属性を表す一つの色」として扱うべきである。

□解釈3.Dar一族は、Kerafyrm誕生以前に、他色交配を行った実験の結果である。
 これは上記二案に比べて、明らかに曲解的だが、私はこのような曲解もまた、可能ではないかと考えてしまうのだ。