ユーザーCSSで人狼物語系人狼スクリプトのキャラ画像横幅を統一する

 人狼物語は、キャラセットごとに異なるサイズの画像を使うことが可能です。

 これによりキャラセットのデザインで世界観を表現する自由度が上がっているのですが、複数のキャラセットを使用する村で、キャラごとにログ文章の表示幅が変わり、読みにくくなることがあります。

 ユーザーサイドでの対応として、ユーザーCSSを使い、ログ部分のキャラ画像幅を揃えて表示させることができます。

 以下、古いブラウザ等で対応しない部分があるかもしれません。

基本CSS

/* キャラ画像格納部の横幅を変更 ----------*/
.mes_chrimg {
    width:72px !important ;
}
/* キャラ画像横の文章格納部の横幅指定を消して自動配置 ----------*/
.mes_del>div:nth-of-type(2), .mes_que>div:nth-of-type(2), .mes_think>div:nth-of-type(2), .mes_wolf>div:nth-of-type(2), .mes_grave>div:nth-of-type(2), .mes_sympa>div:nth-of-type(2), .mes_bat>div:nth-of-type(2), div.mes_nom>div:nth-of-type(2) {
    width: auto !important;
    float: none !important;
    overflow: hidden;
}
/* 画像のサイズを親要素の幅に合わせて縦横比維持して縮小 ----------*/
img {
    max-width: 100% !important;
    height: auto !important;
}

 

 デフォルトの人狼物語では、文章の格納部に識別しやすいクラス名等がつきません。そのため、セレクタ指定がやや面倒な長いものになります。上記のCSSでは、画像や文章の格納部が収納されている親要素であるdivに各種発言タイプがクラス名としてつくことを利用し、「その中の二番目のdiv=文章格納部」を、キャラ画像を使用する全発言タイプで指定します。

 

  キャラ画像格納部の横幅を72pxとしたのは、現在人狼物語系サーバーで一般的なサイズ(画像横幅64px、余白が左右に4px)と想定したためですが、実際にはかなり多様なので、サーバーや村によってそのとき多いサイズに変えるのがよいかもしれません。

 

 このCSSは、人狼物語をベースにしたサーバーでは有効なことが多いですが、独自のスクリプトである人狼議事(キャラチップのサイズが統一的なので必要自体を感じないでしょうが)や人狼議事由来のスクリプトを使用するサーバー等では働きません。

 人狼物語オリジナルにない発言種別が増えているサーバーでは、その分を追加する必要があります。発言種別は、各サーバーのCSSを見て追加するのが楽でしょう。

 一方、格納部にクラス名がついていて、その部分の指定が楽なサーバーもあります。

例:人狼物語 瓜科国の場合

/* キャラ画像格納部の横幅を変更 ----------*/
.mes_chrimg {
    width:72px !important ;
}
/* キャラ画像横の文章格納部の横幅指定を消して自動配置 ----------*/
.mes_del>div:nth-of-type(2), .mes_que>div:nth-of-type(2), .mes_think>div:nth-of-type(2), .mes_wolf>div:nth-of-type(2), .mes_grave>div:nth-of-type(2), .mes_sympa>div:nth-of-type(2), .mes_bat>div:nth-of-type(2), div.mes_nom>div:nth-of-type(2), .mes_cry>div:nth-of-type(2), .mes_wooer>div:nth-of-type(2), .mes_loveletter>div:nth-of-type(2), .mes_naka>div:nth-of-type(2), .mes_wolf_naka>div:nth-of-type(2), .mes_cry_naka>div:nth-of-type(2), .mes_sympa_naka>div:nth-of-type(2), .mes_bat_naka>div:nth-of-type(2), .mes_wooer_naka>div:nth-of-type(2), .mes_loveletter_naka>div:nth-of-type(2), .mes_think_naka>div:nth-of-type(2) {
    width: auto !important;
    float: none !important;
    overflow: hidden;
}
/* 画像のサイズを親要素の幅に合わせて縦横比維持して縮小 ----------*/
.mes_chrimg>img {
    max-width: 100% !important;
    height: auto !important;
}

 画像格納部サイズは、瓜科では大きめのキャラチップも多いので、村にもよりますがやや幅広のほうが違和感が少ないかもしれません。

 独自役職によるもの以外に、「中の人」発言タイプがクラス名で追加されています。

 

主なキャラセットの画像サイズ
64x98
人狼審問(α2.5も)、mtmt、mtmt_BBS、イストワール、宵闇、霧雨降る街、文明開化、花のお江戸、ねこっぷ、メトロポリス、暗黒審問
74x94
トロイカ、哀愁のタタロチカ、ようちえんせんき かりんか、ハロリンカ、ゆめびより、ぐります、へっぽこ村、薔薇色、
74x98
ならむら、ナツメグ、カオス、悪夢(ame)
88x110
薔薇の下、薔薇EX
90x135
人狼物語
100x100
-40、甘味人形、等、瓜科国の幾つかのセット

 CSSで指定するサイズは、このサイズプラス8px(左右余白)です。

 瓜科国の大きめなキャラセットは、高さは多様なものの横幅は100pxであることが多いようです。

Letter from Whitechapel ルール私家訳

通称「ホワイトチャペル」。

このゲームには、正規の日本語版と日本語訳ルールが存在します。

日本語版ルールは、以前オンラインで閲覧できたようですが、現在はリンク切れです。(参照 2012年5/26現在リンク切れのURL

以下に掲載する和文ルールは、英文ルールしかない環境で日本人が遊ぶために簡易訳したもので、内容は一部省略されています。また、正規の日本語版とは関係がありません。(日本語版版権元によるFAQは、ありがたく参考にさせていただきましたが)使用する術語も一致しません。

意図的に、原作の雰囲気にややそぐわない訳語となっています。

 

原文:英文ルール

参考:HJによる「FAQと正誤表」

 

最初に

1人が犯人<Jack the Ripper>、それ以外が刑事<Police detectives>になる。刑事は協力して、合計5個の警官<Policemen>駒を動かす。


マップに置く駒:犯人<Jack the Ripper>、警官<Policemen>、被害者<The Wretched>。
犯人と被害者はマップ上の丸(数字つき)地点を移動する。警官は、(色に関係なく)交差点<crossings>(黒角地点)を移動する。

犯人は、最初に隠れ家<Hideout>として、赤以外の数字丸地点を選ぶ。犯人は犯行後、この隠れ家に戻らなければいけない。

犯人が持つもの:犯行現場<Crime Scene>トークンx5、手がかり<Clue>トークンx19、女性<Woman>トークンx8、特殊移動<Special Movement>トークンx5(その内、馬車<Coach>x3、裏道<Alley>x2)、犯行時間<Time of the Crime>トークンx1。オプションルール(p.14)を使用する場合は追加で、犯人からの手紙タイルと偽の手がかりトークン。

刑事が持つもの:被害者<Wretched>駒x5、巡回警官<Police Patrol>トークンx7。

 

ゲームの進行
ゲームは4回の(歴史上の犯行に沿った)ラウンド<nights>で構成される。各ラウンドは、犯行<Hell>、追跡<Hunting>の二つのパートに分かれる。
ラウンドごとに、使用するトークンの数は変わる。

犯行パートの進行

  1. 犯人フェイズ
    特殊移動トークンをラウンドの指定数準備。
  2. 犯人フェイズ
    女性トークンを、ラウンドの指定数準備(最初は全部、殺された分ずつ減っていく)。女性トークンにはターゲットマークありとなしがある。マークがあるものだけを、実際の目標として選べる。ないのはフェイク。
    女性トークンは、裏返して(フェイクかどうかわからないように)、赤丸(数字)地点に配置する。第2ラウンド以降は、犯行現場トークンがある地点には置けない。
  3. 刑事フェイズ
    調査本部長<Head of the Investigation>(刑事の中から毎ラウンドランダム決定)が、7個の巡回警官トークンを準備する。トークンには色つき(各警官駒に対応)となしが ある。色なしの2個はフェイク。犯人側と同じく裏返して、黄色で囲まれた交差点に配置する。このとき、他の刑事にも情報を教えてはならない(?)
    第2ラウンド以降、5個のトークンは、前ラウンドの終わりに警官駒があった場所に置かなければいけない。(前ラウンドと同じ色である必要はない。フェイクも可)2個は、それ以外の地点に置く。
  4. 犯人フェイズ
    女性トークンを表返し、フェイクは取り除き、それ以外は被害者駒に置き換える。
    犯行時間トークンをボード上、ローマ数字”I”(1)に置く。
  5. 犯人フェイズ
    今殺すか、待つか選ぶ。犯行時間トークンの位置が”V”(5)の場合は、必ず殺さなければならない。
    殺す場合、被害者駒を1つ選び、犯行現場トークンを置く。(その分の被害者駒と女性トークンはゲームから取り除く)フェイズ8へ進む。
    待つ場合、フェイズ6へ進む。
    (第3ラウンドは、二件の殺人が起こる。後述)
  6. 刑事フェイズ
    犯行時間トークンを、一つ大きいローマ数字に移動する。
    調査本部長は、各被害者駒を移動する。移動はパスできない。他の駒がいる地点、巡回警官トークンに隣接する地点、犯行現場トークンが置かれた地点には移動できない。また、巡回警官トークンの地点を通過する移動もできない。
  7. 犯人フェイズ
    犯人は、巡回警官トークンを1個選んで、表返す。もしそれがフェイクなら、マップから取り除く。
    フェイズ5へ戻って繰り返す。
  8. 犯人フェイズ
    犯行時間トークンがある数字上(何回犯行を待ったかによる)に、犯人駒を置く。この数字の残りプラス15(移動トラックとして表示)が、そのラウンド犯人が行動できる最大回数になる。
  9. 刑事フェイズ
    巡回警官トークンを表返し、フェイクを取り除き、対応する色の警官駒に置き換える。残っている被害者駒とかもマップから取り除く。
    追跡パートに続く。


追跡パートの進行

  1. 犯人フェイズ
    犯人は、マップの点線上、隣接する数字つき丸地点へ移動する。使用回数が残っていれば、特殊移動を行ってもいい。
    移動したら、移動トラックの犯人駒の残り行動回数表示を犯行パートと逆方向(アラビア数字の方へ)動かす。
    警官駒がいる地点を通過する移動はできず、この理由で移動先がなかった場合、犯人は敗北する。行動制限回移動フェイズが経過しても、隠れ家にたどり着けなかった場合も、犯人は敗北する。
    隠れ家にたどり着いたと犯人が宣言したら、そのラウンドは終了する。
    犯人は隠れ家の地点にいる時に「隠れ家にたどり着いた」と宣言しないこともできる。宣言は、隠れ家のある地点にいる時でなければできない。
  2. 刑事フェイズ
    調査本部長から時計回りに、担当する警官駒を動かす。
    警官は、マップの点線上、交差点を2つ分まで(0、1つも可)移動する。(数字つき丸地点は数えない)
    他の警官駒がいる地点を通過してもよいが、同じ地点で移動を終わることはできない。

    犯人は必ず移動しなければならない。警官は移動しなくてもよい。

  3. 刑事フェイズ
    調査本部長から時計回りに、担当する各警官駒がそれぞれ、手がかりを探すか、逮捕を行おうとするか、を決める。1つの駒は1回の行動で、どちらか1つしか行えない。
    行動対象に選べるのは、警官駒が隣接している数字つき丸地点。交差点が間に入る場合は隣接ではない。

    捜査:刑事は隣接する地点1つを選ぶ。犯人が、そのラウンド通過していた場合、犯人はそこに手がかりトークンを置き、その警官の行動は終了 する。もしその地点が空振りだったら、刑事は隣接する別の地点を選ぶ。手がかりを発見するか、未操作の隣接地点がなくなるまで、これを繰り返す。

    逮捕:刑事は隣接する地点1つを選ぶ。それが犯人が現在いる地点なら、犯人は逮捕され、ゲームは終了する。その地点が空振りだったら、そのまま(次の地点は選べずに)その警官の行動は終了する。

犯人が隠れ家に戻るか、犯人が移動できなくなるか、移動回数が尽きた場合(移動トラックの15まで犯人駒が動いて、それ以上動かせなくなる)、ゲームは終わる。

犯人が隠れ家に戻って追跡パートが終わったら、ラウンド終了となり、ボード上の標識を、犯行現場トークンと警官駒だけを残し、他は全て撤去して次のラウンドを開始する。

それ以外の場合、フェイズ1へ戻って追跡パートを繰り返す。

特殊移動(p.12)
通常移動に換えて、犯人は特殊移動(使用回数が残っていれば)が可能。
特殊移動トークンは、使用された時、対応する移動トラックのスペースへ置かれる。そのラウンドは、トークンは再使用できない。特殊移動を使用して、その後通常移動を行うことはできない。

注意:犯人は特殊移動で隠れ家へ移動することはできない。犯人の最後の移動(隠れ家へ入る)は、必ず通常移動でなければならない。

馬車:連続移動。さらに警官駒のある交差点を通過できる。同じ地点を行って戻るのは不可。犯人の行動回数は2回分消費される。第1ラウンドは3回、第2~3ラウンドは2回、第4ラウンドは1回まで。

裏道:マップ上の点線で囲まれた区域をブロックとし、現在の地点に面するブロックを囲む点線上の数字つき丸地点どれでも、好きな場所に移動。第1~2ラウンドは2回。第3~4ラウンドは1回まで。(訳注:原文の画像と解説文では、現在の地点に角だけで接しているブロック移動できないかのようにも読める)

第3ラウンドの処理(p.13)
犯人は、2人の被害者を殺さなければならない。
通常の処理では、フェイズ5で犯人は2つの被害者駒を選び、犯行現場トークンを置く。この時、2件目の犯行にも行動回数を1回消費する。犯人は犯行の順番を決め、2件目の犯行現場地点を現在位置として追跡パートを開始する。
刑事は、2件の犯行現場を知るが、犯行順番は不明なので、追跡パートの開始時にどちらの地点に犯人がいるのかを知ることはできない。

オプションルール(p.14)
犯人からの手紙:第2、3、4ラウンドに、犯人は手紙を使って巡回警官の位置を変えられる。3種類、1ラウンドに1回使用可能。使った手紙は再使用できない。
手紙1~3は犯行パートのフェイズ3に、手紙4は追跡パートのフェイズ1に使用。

  • 手紙1<Dear Boss>:犯人はA/aかC/bにいる巡回警官トークンを1個、色を確認せずに選び、他の場所へ配置する。
  • 手紙2<Saucy Jacky>:犯人はB/aかB/b巡回警官トークンを2個、から選ぶ。調査本部長は、その駒を他の地点へ配置する。
  • 手紙3<From Hell>:犯人はA/bかC/aにいる巡回警官トークンを1個、色を確認せずに選び、他の場所へ配置する。
  • 手紙4<Goulston Street>:追跡パートに行われる落書き。フェイズ1で犯人が移動した後、フェイズ2が開始する前に使用する。犯人は赤、緑、あるいは青の警官駒どれか1個を選ぶ(警視庁所属とする)。調査本部長は、犯人が選んだ駒か茶色の駒(ロンドン市警察所属)どちらか1個を選び、即座にGoulston Street(A5/b8の赤枠で囲まれた地点)へ配置しなければならない。

偽の手がかり:手がかりを5個表示するごとに1個(ラウンド内計算)使える。フェイズ3の最初に、犯人は任意の数字丸地点にこのトークンを置く。このトークンが置かれた地点は、以降そのラウンドの間、手がかりの捜査や逮捕の対象とできない。

広域逮捕:逮捕の対象を、警官駒に隣接する全ての地点にする。その他の処理は変わらない。

竜の死 その信仰

 EQ2では、死んだ知的生物は、「Ethernere」という場所にまず行くことになっているようだ。これは種族に関係なく、あるいは「まだ蘇生の余地がある魂が居る場所」のことかもしれないが、Planeや信仰に近い説明がされたこともあるようだ。(参照 EQ2フォーラムスレッド「Ethernere」
 その後がどうなるか、あるいはどうなると信じられているかは、信仰(や種族)によるとしか言えない。

 竜は、死ぬとPlane of Sky、あるいは宇宙へ、始祖Veeshanのもとへ至って合一を果たすと信じている。それは、竜にとっては存在の意義とも言える。それゆえ、竜にとって「死後地上に束縛される」ことは、最も忌むべき状態である。(参照 The Spirit of Garzicorクエスト
 彼ら、特に主流派の竜は、Veeshanを崇め、学び、その始祖と合一する時を待つことに、生涯を費やす。つまり、死を待つことに。初期世代の竜たちは、殺されなければ不老不死に近い存在だというのに。そして竜は、同族殺しを禁忌としているというのに……。

'Well now, look what you have done here! Dead I am, as I knew I would be, if not a bit sooner than I would have liked.. But a rotting carcass upon the ground is no fit end for a Dragon. Grant me this boon, take my heart and hurl it into the fire in the Necropolis, so that my ashes may fly free.'
--Klandicar's corpse

竜が竜を喰らうとき あるいは竜の偏食

 Zlandicar。第一世代の黒竜。ゲーム内現在、冒険者たちがVelious大陸にたどり着いた時、彼は悪評に包まれ、他の竜族たちから離れてDragon Necropolisの深奥にいる。「屍肉喰らい」、若い竜に怪しい思想を吹き込む、竜の失踪の裏にいる、と噂されて。
 冒険者たちによって、その噂は全て真実だったことが明かされる。同族の屍肉を食べるばかりか、生きた竜を食べた(あるいは少なくも竜を殺して食べた)ことも。犠牲となった内一体が、これまで何度か触れたFraka Darである。更には、竜族の敵、巨人族と内通していた。

 彼は最初からそのような竜だったわけではない。(性格はひねくれていたかもしれないが)Zlandicarが最初に惹かれ、喰らった同族の屍肉は、皮肉なことにJaled Darのものだった。同族に喰われて肉体を失ったことは、Jaled Darが幽霊化した理由の一つだ。(出典 ゲームデザイナーKendrickの、the Safehouseへの投稿)
 それゆえ、Jaled Dar's shadeは、彼の死んだ場所ではなくDragon Necropolisにいるのだし、Zlandicarがその幽霊を閉じ込めた(いや……単に動けないのかもしれないが)霊廟の鍵を今でも持っているのだ。

 それほど憎むべき相手に対して、なぜJaled Darは呼びかけ続けるのだろうか。『Zlandicar、あなたの居ることは解っている。あなたがほかに行くところはない。耳を塞ぐな。我々には話しあわねばならないことがある』無音の墓所で、そう彼の霊体は叫び続けるている。
 Jaled Darは、冒険者たち以外に、若干の竜族の信奉者を得ていたことが知られる。(参考 Essence Lensクエスト)幽霊の状態で、例の弁舌で説得したのだろう。動けないJaled Darには、近くに来た者に話しかける以外の方法がないのだ。そして最も近くにいたのは……。

 千数百年の間に、この二体の竜の間に何があったのだろうか。確かなのは、どちらもが、最後にはDragon Necropolisに幽閉され、竜族への裏切りと取られる謀を進めていたことだ。Zlandicarの背反は、Jaled Darに唆された結果なのだろうか?
 そう考えを進めたとき、これまでと違った像が見えてくる。「Jaled Darは、息子が(生まれ)喰われたことを知らずに、呼びかけているのか?」
 いや、Jaled Darの息子だからこそ、その竜は喰われたのではないか? 美味だから。彼に嫌がらせをしたかったから? 彼を動揺させ、懇願させてみたかったから? それとも、竜族は滅ぶべきだという信念を、確固たるものにするために?
 Jaled Darはそう知った上で、叫んではいないか?

 喰うものと喰われたもの。いったい、どちらが真の捕食者だったのだろうか?
 Jaled Darは、竜族を滅亡に導くための手段として、憎悪する相手を説得し、信奉者候補を集めさせ、共に陰謀をたくらんでいたのだろうか。そしてもっと便利な駒である冒険者たちを手に入れて、愚かな古い手駒を殺させたのだろうか。
 愛憎極まる関係、最も美味だった相手の前で、薬で無力化したその仔を生きたまま喰ってみせる、とか。すばらしく薄い本の題材になりそう……いや、全員で竜で実体がないのがいたりとか、どう見ても需要がない。おかしいのは私の頭のようだ。(このまま収録していいのかな……)

『狭衣物語』 悪意的(あるいは現代的)あらすじ

 現代の視線で読むと、信じられない過去の価値観ってありますね。
 よく『源氏物語』を現代人感覚で読むと犯罪的で許しがたい、といいますが、私は『狭衣物語』のほうがすごいと思います。現代人価値観で読むと、主人公(男性)に擁護できる部分はほぼ皆無。当時は理想の男性だったとか。

 一世源氏にして関白の父を持つ、最上級青年貴族の主人公は、兄妹のように育った従妹(皇太子妃に内定済)に恋しており、縁談や他の恋愛には乗り気になれない。と言いつつ適当にはこなす。
 偶然出会った没落皇族の娘と、お互い正体を知らないまま恋愛関係になり、これまでにない好意を持つ。が……。「身分の低い女相手に素性を明かして噂になったら恥ずかしい」からと名乗らない。そのせいで経済的に苦しい乳母たちに拉致され、強制結婚させられそうなった娘は入水自殺に追い詰められる。(「ちゃんと面倒を見る」と言うついでに身分を明かしていれば、周囲だってこんなことをする必要はなかったのに)

 気に入った彼女に失踪されてしまった主人公、皇女との縁談を断るつもり満々でいたのに、つい彼女を垣間見た勢いで押し入り……。皇女は「結婚する予定」だった男性に強姦され、妊娠してしまう。しかも主人公は、その後も彼女と結婚しない態度を押し通し、責任を取らない。
「不明の相手による皇女の妊娠」(皇女は誰にも相手の正体を教えなかったので)を、皇女の母親は隠し通して、自分の出産した(帝の)子ということにする。皇女は主人公のあまりの不誠実さに絶望して、出家してしまう。

 主人公、実は失踪した彼女が入水間際で生き残り、自分の娘を産んでから死んでいたことを知る。その娘は、さっきのとはまた別の皇女(だいぶ年上独身)に養女として引き取られていた。娘に会いたくて、その皇女の邸に忍び込んだのが世間の噂になり、周囲はむりやり縁談を進め、断りきれず結婚。
 お互い好意も結婚の意思もなかった上、皇女は主人公の目的を悟ってしまい、結婚生活はすぐに破綻。それまで何度も「自分の目的は出家すること」と出家未遂を繰り返していた主人公は、その決意を更に固くして、強姦してしまった皇女のほうに別れの挨拶に行くが、相手にされない。(当然ですよね……)

 その出家も神様のお告げやら、家族のがんばりで阻止された主人公。従妹にそっくりの、家柄も申し分ない皇族の娘をもう一人妻にもらう。現代人にはさっぱり良さがわからないが、主人公をすばらしい人だと周囲も神様も持ち上げ、ついには即位して帝になる羽目に。
 結局、最終的には外見も性格も気に入った女性が妻にできて、娘も認知できたし、認知できない息子も皇太子。幸福かと思いきや、うまくいかなかった女性たちを思い出しては、主人公は憂鬱なのでした。(そんなに心残る相手なら、ちゃんと結婚しておけばいいだけじゃ?)終わり……。


 この彼は、当時の人が書いた「かっこいい青年貴族」、読者が支持し読みたがった物語を凝縮した典型例であることが、他の物語や、物語について当時書かれた論評によってわかります。この物語、当時は素直に支持される最高人気作だったのです。
 主人公は、当時重視された分野の才能はある、ってことになっています。現代的創作(特にコミックとか)の悪しき文法「努力して成功することが美しい」文化に毒されるはるか以前の物語です。
 現代では、人生における「因果(原因と結果)」は、その人が一生涯でした行動の中で規定されますが、そもそも元の(日本)仏教的には「因果(前世の行動の反映)」で、文化的にはそう理解された時間のほうが長いわけで……。恵まれた立場は単に「前世でいいことをしたに違いない」で済んでしまいます……。